愛の象徴としての「ハマグリ」「タマムシ」 日本古来の愛の形と色
世界各国、特有の文化があり、人の愛を示す模様やマーク等も多岐にわたるものです
さて今回は日本文化に於いて、そんな人の愛を示す「象徴」のお話
現代に於いてハートマークは西洋由来であるにも関わらず、アジア・アフリカ等の地域を問わずに用いられる「愛・心」を示す象徴です
日本伝統文化の神社ですらハートマークを愛の象徴として活用している事例もあるほど、西洋化・アメリカナイズドの影響は強く、各国由来の文化は忘れられているのが現代です
しかし昔は日本にも愛の象徴がありました
中国由来の伝承「タマムシ」と江戸時代由来の「ハマグリ」です
コトバンクにも記載されてますが、元々は中国由来の言い伝えで、それが日本に伝わった後に「タマムシは恋のおまじない」と言う事になった様です
どうやら鎌倉時代頃らしいですね
https://www.jeinou.com/column/cat121/2022/08/09/091500.html
ここには鎌倉時代から随分後の江戸期に於いて「なぜタマムシの羽が惚れ薬として扱われたのか?」についても記載があります
これはスペインの迷信というか、誤解が始まりです
スペインゲンセイというタマムシに似た虫がいるんですが、毒虫なんですね
その中毒作用が惚れている様にも見える為、誤解が生じて迷信となった様です
それが中国を経由して日本に伝わり、スペインゲンセイに似ているタマムシの羽が同一視されて「タマムシの羽は惚れ薬になる」という迷信が広がりました
なんでも戦後の米兵はタマムシの黒焼きを買ったりしていたとかなんとか
でも実際は危険なだけなのでやめましょう
因みに「虫襖色」という色がありますが、これはタマムシの色が由来です
タマムシはその羽の色故に「宝石」の意味である「玉」を冠する虫ですが、そんな玉の色と言う訳です
なんだかタマムシが愛の象徴と言うよりは「玉虫色が愛の色」って感じがしますね
そういえば玉虫色の口紅「笹紅」「小町紅」という口紅が江戸時代にあったそうです
と言うか、今も売られているみたいですよ
江戸時代にはタマムシが恋のおまじないとして扱われていた訳ではない様ですし、唇に塗って「玉虫色の恋のおまじない」なんて事は言ってなかったんじゃないでしょうか?
まぁ鎌倉時代には言われていたので、知ってる人は言ってたかもしれない?
しかしこれも元を辿ると中国由来の文化
タマムシだけではありませんが、日本の文化って中国由来の物が大変多く、日本発祥って珍しいんですよ
そんな中、江戸期になって日本独自の発祥である愛の象徴が「貝覆い」
所謂「貝合わせ」とそれに使われる「ハマグリ」「貝桶」です
貝覆いという遊戯自体の発祥は平安時代ですが、江戸時代になって「夫婦和合」という愛の象徴として扱われる様になります
こういった理由からハマグリそのものが愛の象徴として扱われる様にもなり、同じ様に貝覆い用の貝殻を収納する八角形の「貝桶」も柄模様として着物等に描かれる程になりました
ハマグリ・貝桶・貝合わせ
これら3つが、日本に於ける夫婦和合、愛の象徴と言えるでしょう
まとめると
愛の色とも呼べるのが「玉虫色」
愛の形とも呼べるのが「ハマグリ」
と言った分け方が出来るのではないでしょうか
という訳で描いてみました江戸の頃より恋人同士の代名詞、相合い傘
玉虫色って難しい・・・難しくない?
虫襖色にしとけばよかったですかね