蔵という日本建築と、和風じゃない「和」
日本建築のビルは存在しないのか?って話ありますよね。
ビルディングと言えば元が西洋建築文化なので、日本建築文化に効率的な空間を設けた高層建築はないのかって言う話です。
それを考える時って城とか五重塔ですよね。
しかしピラミッド状の日本の城郭建築は一階の面積に比べて、最上階の面積がかなり小さくなり効率的ではありません。
一方で仏塔建築はパッと見真っ直ぐで効率的に見えますが、大きい屋根を見て大きな建築と錯覚しているだけで内部はかなり狭いんです。
そして「裳階」という建築文化があり、三階までしかない塔の上に登れない飾りの二階分を作ってあるので、実は見た目より低層建築だったりします。
そして屋根が大きいと言いましたが、これがアジア各国の建築文化の弱みにもなっています。
風雨から壁を守る為に巨大化した屋根は母屋以上に大きいから、隣接する建築物の邪魔になるんです。
こういった事から効率的に土地も人も活用できない構造になって、お金出して建てても利益回収できないんですよ。
技術や文明が発展した今となっては、不要になった構造が多く極めて非効率なんですね。
しかし日本建築にも効率的且つ、文化性が高い建築文化があったんです。
それが蔵造りという様式になります。
ただの倉庫じゃないんですよこれ。
江戸時代は何でも贅沢が禁止と言われて、金があっても贅沢できねぇって言われてたんです。
もちろん家だって目を付けられて立派な屋敷を持つ事が出来なかったり。
しかし蔵は食料や商品を仕舞っておくので、頻繁な火事に対応するために漆喰で塗り立てたんです。
お金はかかりますが職を失う事は致命的だったのか、あまり規制の対象にならなかった様です。
そのため好き放題出来た分、文化発展が進んだんです。
漆喰で作る鏝絵などの様々な装飾が施され、建築文化として特に目覚ましい発展を遂げました。
防火性という口実から漆喰も分厚く塗って、装飾に装飾を凝らした。
有名なのが「なまこ壁」ですね。 黒い下地に白い網目模様の装飾です。
観音開の土扉が設けられ、窓にも土扉で蓋。
徐々に防火性を妥協して「座敷蔵」という倉庫ではない居住空間としての蔵へと発展したんです。
日本建築文化の中で最も文化的・装飾的・重厚感溢れる建築様式だと言えます。
そして効率的でもあるんです。
土蔵建築の様式は大量収納のために多層建築にもなりました。
明治以前かはわかりませんが、四階の蔵もあったりします。
屋根は従来の日本建築と違い、スペースを取らない程度の小さい屋根になりました。
隣接している土蔵がある事も多いため、屋根が邪魔になったんでしょうね。
分厚い壁は断熱性にも優れており冬は温かいという、日本建築では滅多にない構造も魅力。
窓には土扉の蓋が付いていますが、漆喰の庇も付いていたりして見栄えも極めて高い様式です。
これだけ高性能な建築様式なんですが、あんまり人気はないんですよ。
和風ビルって言うと「城・仏塔」の二強状態で誰も注目してくれない。
高層の大蔵とか実物が見たいんですが、なかなか見つけられませんでした。
ので
描いたのが↓になります。
申し訳ねぇ・・・
土扉の段々の左右サイズ合わせて描くのが面倒臭すぎてギブアップしました・・・・・
でもまぁ基礎的なカタチにはなったんじゃない?
なったでしょ?
なったんですよ。
しかしこれが土蔵建築様式を高層にした結果と言うなら、想像以上にビルですね・・・
なんかそこら辺のビルと比べても
「え?別に珍しくなくない?」
って言われそう。
和風ビルじゃない和の高層建築にはなったんだけどなぁ・・・・・
高欄の廻縁とか窓の庇とか描いた方がよかったなー
凄くプロトタイプ感あるので、誰か描いて。