江戸時代の雨の着物 合羽と「正体不明」の着物 万月堂と石川豊信

ちょっと江戸時代の絵を探っていると、こんな絵に出くわしたんです

 

作は万月堂という絵師だそうですが、右と真ん中奥の人の着物を見て下さい

明らかに帯のない留め具に因る着物です

 

この形式の着物は珍しいです

なにせ日本の服飾文化は頑なにベルトに依る固定を主体としてきましたし、左奥の人の合羽の様な「南蛮服に影響された着物」以外ではまず見られません

こちらは石川豊信

同年代の絵師です

どうもこの手の着物が昔はあった様ですが、名前が解りません

 

合羽の一種かもしれませんが、南蛮服由来の立ち襟の形式ではないのは珍しい

自分が知る限り鎧合羽ぐらいの物です(エプロンみたいなデザイン)

 

垂首形式の合羽なんて調べても情報が出てきませんし、当時の一過性の流行だったのかもしれません

しかし襟周りの意匠や、緒の当て布の意匠は日本文化では大変珍しい物です

 

日本の服飾文化って「白紙にパターン模様をプリントする」だけなんですよ

絵を描いたりはしますけど、基本的にはそれだけ

具体的には「武具の陣羽織等に見られる生地を使った意匠」というのがほぼありません

 

直線裁断の着物に柄模様があるだけで、当て布は縫い付けられませんし、特殊な形に裁断する事を嫌います

そんな中でこの様に裁断してある着物は特殊な部類と言えるでしょう

ハッキリ言ってアニメの和風デザインとも相性がいいレベルの意匠かと

中々当時の服飾でこういったの見つけられなかったんですが、漸くです