恋や愛の意味を持つ日本の俗信 相合傘や貝合せ等
相合傘
江戸時代
浮世絵・イタズラの落書き等に見られる。
現代のサブカルチャーにも使用される頻度が比較的多く、現代人に親和性が高い。
玉虫
鎌倉時代頃か
中国の書物「本草綱目」にて「吉祥虫と呼ばれる。身に付けると恋のおまじないになる。」という旨の記載がある。
これが日本にも伝わり普及した。
江戸時代にはその意味とは違い「惚れ薬になる」という迷信があった。
これは当時のスペインに於いて「スペインゲンセイという虫が惚れ薬になる」という迷信があり、大陸を経由して日本に伝わり、スペインゲンセイに似た玉虫に誤解と迷信を生んだ。
実際はスペインゲンセイの持つ有毒成分の中毒作用により、顔が真っ赤になり息が荒くなるという中毒症状を当時のスペイン人が誤解した事による。
無論、玉虫が惚れ薬になる事はない。
「虫襖」という濃い緑色の色名があるが、これは玉虫の色を模した色。
虫襖色に恋愛の意味があるかどうかは、また別の話。
貝合せ(蛤・貝桶)
江戸時代
平安時代に見られる遊戯。
当時は「貝覆い」という呼称であり、「貝合せ」は海岸で拾った貝の美しさ等を競う遊びだった。
その後「貝覆い」と「貝合せ」の呼称が混同され、「貝覆い」の事を「貝合せ」と呼ぶ様になる。(以下、貝合せで統一する)
貝合せに使われる「蛤」の貝殻は対の貝殻しか合わない。
その性質から「合う者同士」という意味を持たせる様になり、江戸時代の武家に於いては花嫁道具の一つとして用いられる様にもなる。
この貝殻専用の収納として「貝桶」があり、これを両家間で手渡す婚礼儀式「貝桶渡しの儀」が発生した。
全く関係無いが、蜃気楼の貝は蛤であり「蜃」の字は「蛤が幻影の煙を吐く振動」の意がある。
鹿と紅葉(花札)
江戸時代
花札が由来
花札に於ける鹿と紅葉が描かれた札は「秋頃の鹿」を意味する。
この時期の鹿は「鹿の遠音」と呼ばれる遠吠えを行う生態があり、江戸時代には「鹿の夫婦がお互いに鳴き合っている」と思われていた。
その為、秋頃の紅葉と鹿は男女仲を意味する象徴として扱う様になる。
当時、胡弓に「鹿の遠音」という曲があるが、この曲の演奏は二人の胡弓奏者が「鳴き合う鹿の遠音」を表現して演奏される曲とされる。
振袖を振る
江戸時代か
当時の書物「好色一代男」等にも記載されており、振袖を振る事がジェスチャーとなっていた事が伺える。
左右に振ると「好き」を意味するが、前後に振るのは「嫌い」を意味するとされるサイン。