和ではなく和風を求める人は「じゃあ洋服で良いじゃん」と言います

日本服飾の長所を活かした新しい袴を作ったんですが、ミスが重なり遅れて秋になってしまいました。

秋の涼しさに「今からだとちょっと寒いな」と物憂げになったのは生まれてはじめてです。

 

さて、タイトルにもある様にちょっと難しい話をします。

周囲の人と和服の話をすると

「じゃあ洋服で良いじゃん」

と言う言葉をよく言われます。

 

これは大抵の場合、現代で和服がどうあるべきか?といった話をすると出てきます。

私はここで「それだと日本文化ではないんですが・・・」と言っても釈然としない人が多いんです。

 

そこで認識の差に気が付きました。

そういう人達は和服を着ていますが「和」そのものを求めていないんです。

 

彼らが求めているのは「和風」なんです。

それっぽさなんですね。

 

この齟齬は「和の要素のみで構成する」という私の認識とすれ違っている事に気付きました。

彼らが和装趣味なのは「時代劇に影響されて」とか「和風が好きだから」なんですが、日本文化そのものは需要がないんです。

だから和風の洋服でも彼らは構わないんです。

 

料理で例えると

肉じゃがを発展させるのではなく、肉じゃが風カレーを作る人が多いんです。

肉じゃがである必要はなく、肉じゃがっぽさがあれば構わないんですね。

まぁカレー自体そういう所ありますしね・・・

 

これは「日本文化の新提案」をテーマにすると、どのジャンルでも出てきます。

 

例えば最近、巷で噂の都市景観の改善だと「日本建築で高層ビル!」と言うテーマになります。

しかし上記の人達が提案するのは「和風ビル」なので、西洋建築ビルディングの屋上にアジア風屋根を乗っけただけの構造になりがちです。

そういった事から「帝冠様式」等は批判されてますね。

ja.wikipedia.org

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ここにあるのは「西洋文化に和風という要素を加えた」だけで、「日本文化のみで構成」されてはいません。

発展途中の和から、最新式の洋を採用しただけです。

逆に言うと和には開拓する余裕があるわけです。

 

しかし開拓を選ぶ人は少ないんですよ。

 

そうやって世界各国の伝統文化は断絶されていきます。

優れた機能性があっても関係ないんです。

洋服で妥協するんですよ。

 

前述した通り彼等はそもそも日本文化に興味がある訳ではありませんから、それっぽさが洋式に伴えば良いんですよ。

つまり伝統性が高い文化って需要が無いんですね。

 

ただ私のように少なくとも居るには居るんですが、やっぱり少ない。

マイナーな格闘技に強い人が少ないのは競技人口の差と言われますが、それと同じ。

発展しないまま埋めてしまうのは勿体無いんですがね、仕方ないね。