江戸時代の礼儀作法やマナーの問題 現代で使えない理由

江戸時代はサムライが存在した最期の時代

そんな頃の礼儀作法となるとやはり「由緒正しい」や「伝統」と言った言葉が使われる程の高い格式を持ちます

 

しかし現代社会に於いては広く使われません

使いたくとも使ってはいけない作法が多くある為です

それは当時の礼儀作法が「身分・男女等に於ける差別」を前提としている為です

 

少し前の話ですが、茶道の家元のお婆さんが「男女差別的である」と批判された事件がありました

というのも「女性は羽織を着る事が許されない」という江戸時代の礼儀作法について話題になっていた事が発端でした

そのお婆さんが伝承していた茶道の流派は江戸時代に始まった物である為に、当時の男女差別の礼儀作法を伝承していたのです

これが批判されました

 

お婆さんご本人は「現代に於いては問題になるので実際にはしていないが、当時の作法を伝承する上では伝えてはいる」と言う事で、歴史資料として遺されている程度でしか無い様です

女性が羽織を着る事を禁止してはいないのですが、当時の作法を伝えるだけでも大衆に誤解されて批判を受けた訳です

 

千利休が茶室に於ける人類平等論を展開したとも言われますが、他の流派の作法はまた別です

 

この様な問題は他にもあります たとえば住居の身分差別です

 

「玄関」「床の間」等の屋内設備等にも差別はありました

これ等は「武士身分等の特権階級のみ所有して良い」という身分差別があり、庶民は自宅に床の間を持つ事が許されない決まりがある程でした

 

現代では日本家屋ならほぼ見られる床の間は、庶民には許されない

となると江戸時代の礼儀作法に乗っ取るなら「先祖が庶民階級なら床の間を取り壊す」等の対処が正当と言う事になります

 

また江戸時代に日本に訪れていた外国人が遺した記録では

「美味しくないので断ったが、儀礼により酒を三杯飲まなければならない決まりがあり、仕方なく飲んだ」

といったアルコール・ハラスメント等も当然あった様で、当時の礼儀作法の問題を後世である我々に伝えています

 

こういった差別による迫害や問題は数多くあり、江戸時代の礼儀作法が現代で使ってはならない原因でもあります

 

現代でも勘違いされているのが「正座」です

西洋文化が入ってきた明治時代に「西洋の礼儀作法の様に、日本の礼儀作法も明確に決めよう」という影響で江戸時代に「端座」と呼ばれていた座り方を「正座」と呼ぶ様になったと言われています

 

この正座ですが、現代でも「外国人は正座に慣れていないから座れない」とよく言われています

この論いは間違いです

厳密には「骨格の人種差が原因で膝関節が一定の角度以上曲がらない」という、完全な人種に因る遺伝性の問題です

これは黒人と白人によく見られる遺伝です

 

つまり正座という座り方の礼儀作法自体が人種差別にもなっている訳です

その為、私は常日頃から「日本文化としての椅子や腰掛を用いた礼儀作法を確立しなければならない」と考え倦ねております

clothroad.hatenablog.jp

 

これらの礼儀作法は「由緒正しい伝統」です

しかし「倫理や法律では悪」です 由緒や伝統は正当性を証明する物ではありません

文化とは簡単に言えば「習慣」です

正解・不正解とは関係ありません 悪い事や間違った事もします

 

事ある毎に礼儀作法が問題になるのはこの為です

日本に限らず、近世辺りまでは差別をする礼儀作法は世界中で残っていました

 

それを無くす為に「正解・不正解を主張するのではなく、誠意を持つ」という意味の「マナー」が生まれたのです

マナーは決まった作法がある訳ではなく「その場に於いて最善と考えられる事をする」という物です

礼儀作法とは似て非なる訳です